海雲台での食事

キムチ鍋

 普通ならYajioの旅のメインテーマは食事だが、今回は、大したご馳走は食べなかった。と言うより、Yajioは韓国での食事に飽きていたのだ。だから、事前に何が食べたいとか全く決まっていなかった。

 まず着いた晩の夜は、海雲台の駅からビーチに出るメインストリートに集まる食べ物屋さんの1軒でキムチ鍋。
 しかしYajioはキムチ鍋等、大嫌いなのだ。日本でも一時期、流行ってYajioの家でも作ってみたが、もともとキムチがあまり好きじゃないYajioには、温かいキムチがどうしてもダメなのだ。
 当然、その事はYajioの連れも十分過ぎる程知っている。何たって彼女は、Yajioの食事を20年以上作り続けているのだ。

 それなのにYajioの連れは、お店のお姉さんに、キムチ鍋で良いか?と勧められたら、ろくに思案もせず、Yajioの同意も取らないで即決した。

 こういったローカルな店は、ハングルのメニューもろくに読めない、日本人には取合えず、一番、馴染みのあるキムチ鍋でもを勧めとけ、みたいなとこがあるのだ。
 そりゃそうだ、訳の分からん日本人を一々相手にしなくても、店は満卓で充分過ぎる程、儲かっているのだ。間違っても厨房からシェフが出て来て、メニューの料理を説明してくれるはずも無く、韓国に来てキムチが嫌い等と言うんじゃネーて感じだ。

 大体からして、Yajioはこの店が何屋か分からずして入っているのだ。目の前にコンロがあるが、周りの民族はそれぞれ思い思いの物を頂いている。
 普通ならこういったローカルな店は決まったメインメニューがあるはずなのに、白い鍋、赤い鍋、魚介、野菜、肉を焼いているヤツまでいて、それぞれ皆、違う物を食っているのだ。

 普段なら
 『ゴルァー!!ボケーッ!!おのれは何、勝手に仕切っとんのジャ!!メニューの選択権はYajioにあるんジャ、黙っとけ!!』
と、爆発してるシーンだが、あの時のYajioにはキムチ鍋に対する代案が浮かばす、取合えずYajioの連れの意見を黙認してしまったのだ。

 程なくして運ばれて来たキムチ鍋は、やっぱりYajioの口には合わず、店内を見て回ったら水槽に入った貝が見えたので、貝焼きを追加注文してみる。
 しかし、この貝焼きも全て細かく切って、韓国特有の同じ味付けにしてしまうので飽きてしまうのだ。何故、貝その物の味を信じて、塩や醤油であっさり食べないのか?
 
 この店には、本当にがっかりさせられた、しかし、地元民族に人気の店らしく絶えず混んでいた。どうしても納得できなくて、韓国では何処でも間違い無しに美味いフライドチキンで口直しをしようと、別の店でテイクアウトしたがこれも不味かった。どうしたんだ海雲台。

Yajioは何も言う事は無い。

デジカルビ

 ここ海雲台では、もう1日別の店で、ホルモン、デジカルビ、サムギョプサルを食べた。ここも地元の民族、外国人グループで満席になっていた。
 
 Yajioの右隣にいた若いカップル等、デジカルビを10人前ぐらい食べていた。冗談抜きでデジカルビばっかりだ。
 更に、左隣の若い野郎二人はサムギョプサルばっかり、これも10人前ぐらい食っている。しかも即効で食って出て行った。基本的に若いヤツラはあまり酒を飲まないのだ。
 それにしても、同じ肉ばかり良くも続けてあんなに食えるもんだ、やっぱり韓国パワーは恐るべし!!

 Yajio達はと言うと、ホルモン、デジカルビは1人前ずつ、通常オーダは2人前からだが、店のオヤジは、Yajio達が日本人だと気づいたらしく1人前でオダーを通してくれた。日本人は少食だと分かっているのだ。
 流石にサムギョプサルは1人前とはいかず、2人前頼んだが、これがまた、肉が余りにも薄過ぎて、まるでかんな屑のように丸く反り返っていた。Yajio達は殆ど残してしまった。
 
 最近この手の焼肉も、日本で手軽に食べられるようになったので、やっぱりYajioは日本の方が口に合うようだ。

河豚スープ

 もう1つ、海雲台で食べた朝飯の河豚スープ。これは最高に美味かった。ここはビーチに続く食堂街の一軒だった。この通りのお店は今までにも何軒か試したが、ことごとくYajioの期待を裏切る者だったが、やっと美味しい店に出会った。

 韓国では河豚のスープをポッククと言って、ここいらの名物のようだ。しかしYajioがガイドブックやWebの写真を見た限りでは、多分、河豚はサバフグの小さ目の物で、頭だけを落としてほぼ丸の状態で使う。(皮も着いたままで、ぶつ切りする場合もあるようだ。)
 そこに、モヤシやセリ等を入れるらしいが、何かYajioには生臭そうで手を出しにくい代物だった。大体からして河豚にモヤシを入れる事が、Yajioには許せなかったのだ。
 
 しかし、ここのお店のフグは大きめの固体のカマや中オチを使用している。まさかトラフグのはずは無いが、カマの大きさからするとシマフグ辺りか?あっさりしてるんだが、チャンと味わいがある澄んだスープは正しくフグだった。海雲台一の店だ。しかし、残念ながら写真が無いのだ。

 ここで事件が起きた。それは、Yajio達が食事を済ませて帰ろうかと思った時だ。普段、連れと一緒の時は支払いは全てYajioの連れに任せるのだが、海外での支払い担当はYajioだ。Yajioが支払いをしようとすると、何とサイフが無いのだ。

 Yajioは外出する時は、持ち物を極端に少なくする。この時もサイフだけをポッケトに入れておいた。何処かに落とすわけなど無い。ホテルの部屋に忘れたのかと思い、連れを残し部屋に戻る。しかし、部屋にもサイフは無い。

 朝、起きて間もない事だったので、記憶をたどる。多分、あの店で落としたんじゃないか?と思い直ぐに店に戻る。
 そしたら案の定、店に落ちていたらしく、店のおばさんが見つけてくれたらしい。朝から少しビックリしました。親切なおばさんありがとうございます。