京義線に乗る

ソウル二日目

　今回の旅行は、ソウルに１泊なので今日が最後の日となる。これから、午後2：00ソウル駅発の釜山行きのセマウル号に乗らなければならない。本当に忙しない旅だ。
　
　ソウル駅、午後2：00発だと、今から７時間後だ。Ｙａｊｉｏも歳のせいか昨日夜遅くまで街に出ていたのに、やけに早起きだ。
　チェックアウトの前に、外で軽く朝食を済ませて８時に出発だ。今日の予定は既に決まっている。
　
　僅か半日で何が出来るのか？色々迷ったが今回もう一度、臨津閣にいてみよう。Ｙａｊｉｏは臨津閣には今まで三度行ったが、行く度に様変わりしているので、何時も驚かされる。

臨津閣の思い出

　初めての時は、それこそ何の下調べもなしにいきなり出かけた。その頃のＹａｊｉｏはインターネット等知らないし、地球の歩き方みたいなガイドブックも、持っていかなかった。
　泊まったホテルのロービーに置いてあった、大雑把な地図一枚持って、ソウル駅のインフォメーションに行った。そして地図上の板門店を指差しここまで行きたいと、インフォメーションのお姉さん相手にダダこねた。
　
　結局個人では板門店には行けるはずも無く。臨津閣に行きなさいと言われ、京義線に乗ってムンサンまで行った。
　しかし、その時は自分が何処に行ったのか日本に帰っ来ても暫くは分からなかった。
　ただその頃、海外に行って行き当たりで行動する事なんて、初めてのＹａｊｉｏにとって、あの風景はもの凄く印象に残った。
　
　そして、『京義線、ムンサン、イムジンガク、自由の橋、鉄道中断点、オドゥサン統一展望台』等、分かるようになって、Ｙａｊｉｏの韓国旅行も頻度を増していった。
　臨津閣はＹａｊｉｏにとって、韓国旅行の原点みたいな場所だ。
　そして、今では何とイムジンガンを列車で渡って都羅山駅まで行ける。ネットでこの情報はかなり出ていたので、何時かはと思っていたが、いよいよ今回実現できる。

２００３．０８．２４京義線に乗る

　京義線は、もともと朝鮮半島を南北に結んでいた鉄道だ。半島が３８度線を境に分断されてからは、イムジンガンを渡る事は無かったが、今ではソウルから都羅山までを結んでいる。もちろん都羅山に行くにはイムジンガンを渡って行く。あの破壊された橋を渡るのだ。
　もうＹａｊｉｏは下調べも、も済んでる。それに何回も乗った路線だ。
　しかし、何時ものようにインフォメーションのお姉さんのお世話になる。
（ここソウル駅２階のツーリストインフォメーションは、とても親切だ。だからＹａｊｉｏはついつい甘えてしまい、未だに韓国語を話せない。）
　
　まず、セマウル号のチケットだったら、ここで発券してもらえる。もちろんカードでの支払いも大丈夫。後ろに人が沢山並んだりしないから、落ち着いて自分の聞きたい事を日本語で言えば大体理解してくれる。
　意地をはって解読に手間取るハングルと睨めっこするより合理的だ。だからＹａｊｉｏは未だにハングルが苦手だ。
　
　今日はこの後、釜山まで行かなければならないので、全て迅速にこなさなければ。まずは手荷物だ、ホテルは既にチェックアウトしているので全ての荷物を持っている。幾ら何でも三泊四日の手荷物を持って動き回る程Ｙａｊｉｏは若くない。ホテルに預けても良いのだが、どうせまたソウル駅に戻って来るのだから、あまり合理的なアイデアではない。
　しかし、Ｙａｊｉｏは前日にソウル駅のコインロッカーの場所を確認しておいた。手荷物は全てロッカーにぶち込んで出発だ。

京義線、ソウル発都羅山行きの時刻表

【下り】

ソウル発	臨津江着	臨津江発	都羅山	観光
09：10	10：33	11：43	11：48	バス観光
10：10	11：33	12：43	12：48	都羅山駅構内のみ
11：10	12：33	13：43	13：48	バス観光

この他、ムンサン行き、臨津江行きが１時間間隔で運行している

京義線、都羅山発ソウル行きの時刻表

【上り】

都羅山	ソウル
13：14	14：45	都羅山駅構内のみの客
15：14	16：45	バス観光の客
14：14	15：45
15：14	16：45	都羅山駅構内のみの客
17：14	18：45	バス観光の客

帰りの臨津江発は10時～18時までの間、各時間２１分発だ

　都羅山行きは１日３本運行していが、１回の定員は３００人限定でソウルからは１００人参加できる。三日前から予約が出来、ソウル駅２階１９番窓口で切符を購入できる。必ずパスポートを携帯する事。
　列車の運休日は月曜日

　　都羅山では自由観光出来ず、全て上の時刻表に連動したバス観光になる。バスのチケットは臨津江駅で買える。
　ツアーに参加しない人は都羅山駅構内から外へは出られない。

観光コースは
都羅山駅→展望台→第３トンネル→統一村→都羅山駅

　都羅山駅までは片道1400ウォン。
　観光バスは8700ウォン。

これはＹａｊｉｏが２００３．０８．２４に行った時の情報なのでもし、参考にするなら、ソウル駅のツーリストインフォメーションで最新の情報を確認してくれ、京義線の時刻表と、ちゃんと日本語で書いた案内を貰えるゾ。上の表はそれを元にＹａｊｉｏがまとめた物だ。

やっぱり遠かった都羅山駅

　前置きが長くなってしまったが、実際、Ｙａｊｉｏは都羅山駅に行く事が出来なかった。そう午後２：００のセマウル号に乗るには時間的に無理なのだ。セマウルの時刻をずらしても良いが、早くてもソウルに戻れる時間は午後４：４５だ。その後釜山に行ったら、到着は夜の８：００を過ぎる。チョットハード過ぎるので今回は諦める。
　しかし都羅山までは無理でも、なんとか臨津江までは行けそうだ。Ｙａｊｉｏ達は何時ものようにビールを仕入れて09：10発の列車に乗り込んだ。

　この路線もすっかり近代化されて（昔と比べて）、列車も通勤列車で使うような味気ないディーゼルカーになっていた。Ｙａｊｉｏが最後に乗ったのはもう２年ぐらい前か？まだその時は、厳ついディーゼルの機関車が古い客車を引っ張っていた。車内にはビールやつまみをワゴンで売りに来る、売り子が乗っていて、まるでＹａｊｉｏの幼い時の国鉄のローカル線その物。乗ってるオバサン達も焼酎をグィグィやっていた。
　今では、エアコンも効いた車内で、みな垢抜けた格好をして、携帯電話と睨めっこして日本の近郊列車とかわらん。ビールを飲むのも気が引ける程だ。
　車窓も以前より田んぼや野ぱっらが少なくなったような気がする。約１時間でムンサン到着。以前の京義線終着駅だ。

　Ｙａｊｉｏはムンサンに着いてビックリした。まるで昔の面影は無い。昔あった独特の形をした駅舎は影も形も無く、立派な駅ビルなっていた。しかもホームも増設されていて、駅前にはマンションか何か大きな建物が建っている。以前の田舎の終着駅ではないのだ。
　そりゃソウルから僅か１時間足らずで来れる所だ、今まで開発されなかったのがおかしいくらいだ。たまに来る旅行者のＹａｊｉｏにとっては寂しい気もするが、暮らしてる人にとってはやっとここまで来たという感じなのだろうか？
　
　ムンサンを出るとゆっくり列車は次の駅臨津江に向かう。ここから先はＹａｊｉｏも初めてだ。何時もは車で渡る踏切を、今日は列車に乗って道路を横切る。初めてきた時は思いもよらない事だ。
　しかし、もっと感動するかと思ったがそれ以上、特別何も感じなかった。
　臨津江駅に到着、この列車の終点は都羅山駅だが残念ながらＹａｊｉｏはここまで、イムジンガンを渡ったら、もっと感動したのだろうか？
　臨津江駅、ここもなんとも味気ない駅だろう。まぁ新しく出来たんだから仕方ないのだろうが、それにしても無機質過ぎる。
　鉄道が分断されてから、やっとほんの一部だけれど南北を結ぶ線路が復活したのだ。
　その入口とも言える臨津江駅なのだから、もうちょっとやる気出して、盛り上げようぜ！あれじゃまるで埼玉高速鉄道の埼玉スタジアムの駅みたいだゾ！
　ワールドカップで盛り上がるだけ盛り上がって、後は何の使い道も無いあの駅。それは初めから解っていた事だから、あまり金を掛けずに造ったのがミエミエでただ無駄に広いだけ。
　臨津江駅もなんかそんな気がしたゾ。もっともソウルは車社会だからソウルから１時間で来れるこの辺りに、態々１時間に１本の不便な列車で来る物好きな人間などあまりいないのだろう。

２００３．０８．２４臨津閣

　初めてイムジンガクに訪れたのは１０年前、その時の印象はやっぱりとても緊張した雰囲気だった。現在のような観光地ではなく韓国軍の兵士も沢山いた。
　Ｙａｊｉｏが行った時は、晩秋だったせいか人も少なく、皆、年配者で年寄りを連れていた。
　その年寄りが、インジンガクの屋上で北の地を、望遠鏡で覗いてはハンカチを目に当てていた光景が、今でも忘れられない。
　あの頃は南北国境、どこの展望台でも、このような光景は当たり前にあったのだろう。
　しかし、今回のイムジンガクではそんな暗い、寂しげな情景は見られなかった。変わりに焼酎をひっかけて陽気になった親父が、あのお決まりのフレーズ『祖国統一万歳』と叫びながら、今では途中まで渡れるようになった『自由の橋』の行き止まりで、北に向けて大声で歌を唄っていた。
　また、バースデーケーキを持って来ている若者もいて、一昔前の絶望した雰囲気など微塵もなく、本当に祖国統一は実現でき、離れ離れになった身内にも、もう時期に再会できる。そんな力強さを感じた。
　だが実際は、対岸のあの国は理解できない国だから？

走れＹａｊｉｏ

　Ｙａｊｉｏのイムジンガクでの持ち時間は、約１時間だ。すぐ上りのソウル行きに乗らなければならない。一通りイムジンガクを見学して、列車のレストランでビールを飲んで駅に戻った。しかしＹａｊｉｏは今回の旅で一番のミスを犯してしまった。
　まぁ、何時もそうなのだがＹａｊｉｏは事前にあれこれ大雑把にサーチするのだが、どうも実際その場になると場当たり的になる。
　この時も、前日にソウル駅で京義線の時刻表をもらって、上り、下りの時刻をチェックした。しかし、何故か到着したイムジンガク駅の時刻表を見て、帰りの列車の時刻を勘違いをしてしまったのだ。
　それは、正規の時刻より１５分も後だった。そして勘違いしたＹａｊｉｏは、列車のレストランで余裕かまして、寛いでしまったのだ。
　Ｙａｊｉｏは自分の思い込んだ、時刻に駅へ行ったが定刻になっても列車がこない。韓国の列車は割と時間には正確だから、もしかしてと思い時刻表を見直す。

『なにー！Ｙａｊｉｏが乗るべき時刻の列車が無い！』
　Ｙａｊｉｏが到着した時に確認した時刻表は？Ｙａｊｉｏは幻を見たのか？さすがは、国境の街イムジンガク恐るべし！Ｙａｊｉｏの一瞬のスキを突いてパラレルワールドに連れ込むとは。
　仕方なく１本後の列車にして、ソウルに帰る。しかしこの列車のソウル到着時間は、午後１：４５分だ。予定していた時間より１時間遅いのだ。
　Ｙａｊｉｏの釜山行きセマウルの出発時間は午後２：００丁度だ。時刻表から見る時間では、今乗っているこの列車でも乗継に１５分有る。日本だったら余裕の時間だが、はたして大丈夫か？
　幾ら慣れたソウル駅とはいえここは外国だ。定刻通りにソウルに着くのか？

　Ｙａｊｉｏは連れに、
『どうする？』と聞いたが
連れは、
『大丈夫、間に合う』と余裕かましている。
何を根拠にコヤツは言ってるのかＹａｊｉｏには、わからんが、どうせコヤツは当てにはならん。何時もＹａｊｉｏ達は二人だが、Ｙａｊｉｏは連れには期待していないのだ。

　一応、Ｙａｊｉｏは頭の中でソウル駅での行動をシュミレーションしてみた。

①　ソウル駅のホームは地上階だ。改札は２階なので一度２階に上がら
　　なければならない。
　　ソウルに着く前に列車の中を移動して階段に一番近い車両に移る。

②　そして駅に着いたら、他の誰よりも早く降りて、階段をダッシュで駆け
　　　上がる。

③　２階に上がったらすかさず、プサン行きの改札を探す。もちろん走り
　　　ながら、ゆっくり止まってはいけない。ロッカーの在る１階を目指しな
　　　がら目だけで探すのだ。

④　ロッカーで荷物を取ったら、全身のエネルギーを総動員して階段を駆
　　　け上がる。

⑤　後は大体、目星を付けておいた釜山行きの改札目指す。

⑥　多分列車は既に入線してるだろうから、案内のお姉さんにチケットを
　　　見せて、普段通り何も無かったかのように余裕かまして、自分の乗
　　　るべき車両に乗り込む。

以上ここまでを１０分でこなす。完璧なシナリオだ。

　しかし、１つ問題なのは到着時間だ。これは幾らＹａｊｉｏが列車の中で走ってみてもどうする事も出来ない。早く着く事など有りえないが、遅く着く事は充分考えられる。もし遅れて着いたらどうする。
　
　Ｙａｊｉｏの考えは２通り、遅れが１０分以上で乗継に要する時間が５分をきった時は、チケットをチェンジして１本後の列車にする。
　もう１つは、この路線は新村からソウルまでが異様にノロノロ運転になる。遅れるとすればそこからだから、新村で降りてタクシーに乗り換える。
　しかしこのアイデアは、交通状態など不確定な要素が有り、リスクが多すぎるので却下した。
　決まった、定刻通りならシナリオ通りに迅速に行動する。到着が１０分オーバーなら迷わずチケットチェンジだ。
　Ｙａｊｉｏは連れに『Ｙａｊｉｏプロジェクト』説明し全て迅速に行動する事を確認した。
　いよいよ、列車がソウル駅に到着する。やはり新村からの徐行運転で到着は５分遅れだ。
　シナリオ①を、実行してドア付近で列車が止まるのを待つ。列車が止まってドア開く、行くぞ！ダッシュ！
　『しかし！！』
　シナリオは出だしから崩れた。１番階段よりに車内を移動して準備をしていたつもりが、何と階段とはまるで逆の１番端になってしまった。
　ここでもＹａｊｉｏの勘違い。ソウル駅の階段は１番端に有るのはわかっていたが、ソウル着の列車の場合は最後尾が１番階段よりになるのだ。Ｙａｊｉｏその逆だと思っていたのだ。
　そう、Ｙａｊｉｏはソウル初の進行方向を勘違いしていたのだ。
『ダーッ！誰よりも早く階段を上るはずが、１番最後とは！！』
　しかしＹａｊｉｏは走る、残された時間は１０分を切ったぞ！急げ！
　その後はシナリオ②～⑥は完璧にこなし、予定通りのセマウル号に間に合った。乗換えに要した時間はなんと５分チョット。今回の旅行は乗継で走ってばかりだ。

臨津閣周辺


臨津江駅、平壌まで２０９km ソウルまで５２kmの所だ	線路は更に北に延びている。あの先にイムジンガンがあり、更にその先は都羅山だ。	臨津江駅を降りると正面に都羅山観光のチケット売場がある。Ｙａｊｉｏの印象では乗って来た列車で降りてチケットを買っても、またその列車に乗れそうな感じだった。

臨津江駅の待合室。乗車専用だ。都羅山行きが来る時は、韓国軍のＭＰが来て、手荷物をＸ線に通し、ボディーチックをしてから列車に乗る。今回Ｙａｊｉｏはそれを見てるだけ、非常に残念だった！	これが、京義線のディーゼルカーだ。花柄の可愛い列車で車両中程は２対２のボックスシート、両端は跳上げ式の横長のシートが対面に並んでいる。先頭車両にトイレが付いている	手前が以前の橋で奥の新しい橋を列車は渡っていく。しかしこの川はイムジンガンでは無い。

臨津閣を自由の橋から見た所だ。以前はこの位置から臨津閣を見る事はできなかった。	自由の橋、ここを渡るのは二度目だが、来るたびに変わっている。初めての時は金網、有刺鉄線で頑丈にグルグル巻きにされ、その様を写真に撮ろうとしたら韓国軍の兵士に注意された。かなり緊張した処だったが？	橋の突き当たり、何かの横断幕が飾られ、韓国の国旗や、思いを綴った手紙なのかハングルが書かれた布切れ等が金網に付けられていた。その先には南北を結ぶレールが走っている。

自由の橋の下は何遊歩道があり、プールなのか（まさか）池のようなものが出来ており自然の草木で覆われた一昔前の風景は、人の手により全く別物になっていた。	イムジンガンの堤に作られた韓国軍の張り番小屋にカメラを向けても、全く無反応。	最後は調子に乗って敷地内の小屋を近くまで行って撮ったが、これも無反応。みんなどうした？

かっては鉄道分断地点にあった、蒸気機関車と「鉄馬は走りたい」のモニュメントこれも、初めて行った時Ｙａｊｉｏの印象に残った物だった。	しかし！現在はこの通り、日本の田舎にも有るような、廃線の列車を利用したレストランに見事に変身していた。あの頃の哀愁など微塵も感じられない。	しかも、驚くのはそれだけじゃない、車内はこの通り真っ赤なシートと、正面にはカラオケのステージ。田舎のスナツクか？

なんと、ここには遊園地もあって昔の絶叫マシン、バイキングがあった。	この蒸気機関車は、ちゃんと動いて園内を一周する

アメリカ製のシャーマン戦車第二次世界大戦から使われていた戦車だ。		統一院　北朝鮮館Ｙａｊｉｏは入った事は無い。

南北戦争の時に使われた兵器が展示されている		正面から見たイムジンガク

列車で都羅山駅まで行かなくても、ここから第３トンネル、都羅展望台等の観光バスが出ている。実際はこちらの観光バスを利用した方が便利かも知れない。	駐車場の入口付近に有る、インフォメーション。ここで観光バスのチケットが買える。丁度上の屋台の売店の前だ。	観光バスの時刻表と運賃表（たぶん？）ハングルのわかる人は解読してくれ。

ここでは、韓国の屋台料理を食べる事が出来る。	イムジンガン駅からイムジンガク方面を見たところ。この日は雨だったのだ。	イムジンガクが在るのは、韓国坡州（パジュ）その周辺の観光スポット、レンタカーが有ればかなり起動力を発揮してくれそうだ。なんたってソウルと違い、道が空いている。

有刺鉄線に囲まれた中、列車はイムジンガンを渡っていく。	イムジンガクここは、元々観光地ではあったのだが、どこか寂しい感じがして、それが良かったのだが、今ではまるでテーマパークそのもの。そう国境の観えるテーマパーク	途中、韓国ＴＧＶの車両基地が見えた。もう既に新車両が沢山停まっていた。いよいよ韓国も高速鉄道が走るんだな。でも大丈夫？（いろいろと）

詳しくはここだ!! 韓国坡州市（パジュ）